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共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会

 

『共謀罪法案 政府・自民党の説明10の疑問とウソ』を発表
 
  共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会は5月9日、「共謀罪法案 政府・自民党の説明 10の疑問とウソ」を発表しました。その全文を紹介します。

共謀罪法案 政府・自民党の説明 10の疑問とウソ
                                            2017年5月9日  共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会

 はじめに
  安倍政権が国会に提出した「共謀罪(テロ等準備罪)」について、国会の審議が行われています。
 政府のいう「テロ等準備罪」という名称そのものが、法案の内容とはかけ離れたものです。また、政府は、「東京オリンピックを控え、テロ対策のために必要」、「一般人は対象とされない」などと言って、法案を無理やり通そうとしています。また、自民党政務調査会は、3月31日、「ご地元でご説明される際のご参考」などのためとして、「『テロ等準備罪』について」と題する説明資料(以下「自民党文書」といいます)を作成しました。
  政府の説明や自民党文書には、法案の正確な解釈とは全く異なる見解が当たり前のように記載されています。その中には、国会での政府答弁をも無視したものが多々見られます。
  法案の内容について、明らかに誤った情報を伝えることは、法案に対する国民の判断を誤らせ、議会制民主主義の根幹を破壊するものです。
  このような立場から、私たち法律家は、この間政府、自民党がまき散らしている「ウソ」を10にまとめ、これに対する反論を作成しました。
  法案に対する正しい判断のために、ぜひご活用ください。
 
①東京オリンピック・パラリンピックのために必要?
☞安倍首相をはじめ、誰もそんなことは言っていませんでした
【ミニ解説】
 安倍首相は、2013年9月7日のオリンピック招致演説で、「委員長、ならびにIOC委員の皆様、東京で、この今も、そして2020年を迎えても世界有数の安全な都市、東京で大会を開けますならば、それは私どもにとってこのうえない名誉となるでありましょう。」と述べています。
 その後、オリンピック招致に関する会議などで、「テロ対策」のために「共謀罪(テロ等準備罪)」が必要であるとの意見が出されたこともありません。
 また、安倍内閣は、2013年12月10日、「『世界一安全な日本』創造戦略」を閣議決定しましたが、そこには「共謀罪(テロ等準備罪)」」についての言及は一切ありません。
 「東京オリンピック・パラリンピックのために必要」というのは、法案を通すために、後で無理やり付けた理由にほかなりません。
 
②「テロ対策」のために必要?
☞法案は「テロ対策」を目的とするものとはなっていません
【ミニ解説】
 「テロ対策」を看板にして作られた法案ですが、当初の法案には「テロ」という言葉自体がなく、批判を受けてあわてて「テロリズム集団その他の」という文字を付け加えました。ところが、政府は、「テロリズム集団その他の」という言葉を加えた前後で「法案の内容には変化はない」とはっきり答弁しています。
 
③現行法ではテロが防げない?
☞テロ関連条約の締結をはじめ、すでに実効的な措置がとられています
【ミニ解説】
 日本はこれまで13の「テロ」対策関係条約に加入し、関連する国内法の整備を行っています。
 自民党文書では、「わが国の現行法では、テロ組織が水道水に毒物を混入することを計画し、実際に毒物を準備した場合であっても、この時点で処罰することができません」と述べていますが、とんでもありません。殺人予備などで摘発することは十分可能です。
 
④国連越境組織犯罪防止条約締結のために必要?
☞共謀罪をつくらなくても条約は締結できます
【ミニ解説】
 そもそも、国連越境組織犯罪防止条約は、経済的利益を目的としたマフィアなどの越境的な犯罪防止のための国際協力を目的とするものであって、「テロ」防止を目的とするものではありません。また、同条約は、条約に基づく立法作業は「国内法の原則に基づ」くことが原則であると規定しています。日本国憲法やわが国の刑事法の原則に反する立法をしてまで条約を締結しようというのは、本末転倒の議論にほかなりません。
 政府はこれまで、条約第5条に基づいて、長期4年の懲役または禁錮にあたる犯罪をすべて共謀罪の対象にする義務があると説明してきました。ところが、今回の法案作成に際しては、対象犯罪を「組織的犯罪集団が関与することが予想される犯罪」に限定することは許されるとして、従来の解釈を変更しました。「条約を締結するためには共謀罪の制定が必要」という論拠を政府自らが否定したのです。
 
⑤「一般人は対象とならない」?
☞一般人も対象となることは、政府も認めています
【ミニ解説】
 法案は、「組織的犯罪集団」の行為として犯罪の「計画」をした場合に共謀罪が成立するとしています。ここでいう「組織的犯罪集団」とは、「その結合関係の基礎としての共同の目的が…罪を実行することにある団体」というだけで、「一般人」との区分はきわめてあいまいです。だから、政府は、通常の団体でも組織的犯罪集団に「一変する」場合があるなどとして、「一般人」が対象となることを認めています。
 自民党文書や首相らの答弁では、犯罪主体を「テロ集団・暴力団・麻薬密売・人身売買組織」などとして、「組織的犯罪集団に入っていない一般の方々が、処罰の対象となることはありません」(自民党文書)といいますが、そのような規定は法案のどこを探してもありません。
 自民党文書では、「一般のメールやSNSのやり取りで処罰することもあり得ません」と説明しています。しかし、政府は、メールやラインなどのSNSによっても、犯罪の計画(合意)が成立すると答弁しています。
 政府は、「組織的犯罪集団」の行為に当たるかどうかは、その都度判断すると答弁し、さらには「疑われた時点で一般人でなくなる」と答弁しています。結局、捜査機関が複数の人が犯罪の実行を「計画」していると疑った時点で、「組織犯罪集団」とみなされることになるのです。
 
⑥「準備行為」の要件があるから限定されている?
☞「準備行為」は、誰もが日常的に行う行為です
【ミニ解説】
 政府は、犯罪実行の「準備行為」という要件を加えたから、処罰の範囲が限定されているかのように説明しています。
 しかし、「準備行為」とは、「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他」の行為で、それ自体は、日常的に行われる行為です。花見なのか、犯罪の下見なのかは、外形では判断できなません。
 自民党文書では、準備行為について、「犯罪資金の調達」、「凶器・弾薬等の手配」、「犯行現場の下見をするなどの行為」としていますが、法案には、「犯罪資金」「凶器・弾薬」「犯行現場」という文言はありません。もしも「凶器・弾薬の手配」がなされれば、それは現行法でも殺人予備などによって摘発は可能です。
 また、政府は、「準備行為」を行う以前から捜査を行うことは可能であると答弁しています。この意味でも、「準備行為」は歯止めにはなりません。
 
⑦内心を処罰するものではない?
☞内心を問題にして処罰することは政府も認めました
【ミニ解説】
 法案のいう「計画」とは、話したことや考えたこと(同意したこと)を意味します。ですから、「計画」を処罰することは、表現の自由(憲法21条)、思想良心の自由(憲法19条)を侵害するおそれが高いのです。
 さらに、政府は、「準備行為」の外形だけでは、共謀罪の成否は判断できないので、その目的を調べることになると答弁しています。結局、内心で考えていることを理由に処罰することになってしまうのです。
 
⑧対象犯罪を限定したから大丈夫?
☞「組織的犯罪集団」とはまったくなじまない犯罪が多く含まれています
【ミニ解説】
 政府は、対象犯罪を600余から、「組織的犯罪集団が関与されることが想定される」277の犯罪に「限定した」といいます。
 自民党文書では、「テロの実行に直接係るものでだけでも100以上ある」とされていますが、その「100以上」とは具体的にどの犯罪であるのか、政府はいまだに回答できずにいます。
 また、キノコ狩り(森林法違反)のような組織的犯罪集団とはおよそ「なじまない」犯罪も含まれています。他方で、政府・与党、警察、大企業が行いそうな犯罪はなぜか共謀罪の対象から除外されているのです。
 
⑨「今までの共謀罪とは違う」?
☞看板を変えても、これまで三度廃案になった共謀罪と同じです
【ミニ解説】
 政府は、今回の法案は、「組織的犯罪集団」「準備行為」という要件の限定を行い、対処犯罪も277に絞ったから、従来の「共謀罪」とは違うものだ、として「テロ等準備罪」という看板を掲げています。しかし、「組織的犯罪集団」「準備行為」という要件は、共謀罪の成立範囲を限定するものではなく、対象犯罪もまだまだ広汎に過ぎます。何よりも、「合意」段階で処罰するという共謀罪の本質は何も変わっていません。
 ですから、今回の法案は、まさに共謀罪であり、これまで3度廃案になった法案と実質的に変わるものではありません。政府自身も、適用される主体の範囲について、過去の共謀罪法案とは変わらず、今回、「明確にしただけ」だと答弁しています。
 なお、廃案になった過去の共謀罪の審議の過程で、自民党が128まで対象犯罪を絞った経緯があります。このとき、対象犯罪から除外されていた組織的威力業務妨害罪などの特に濫用が危惧される犯罪が、今回の法案では再び対象となっています。
 
⑩日本が監視社会になることはない?
☞いまでも行われている市民の監視がもっと日常的に行われます
【ミニ解説】
 共謀罪は、結果が発生せず、犯罪の実行行為もなされていない段階で、犯罪の「計画」(合意)を犯罪とするものです。「計画(合意)」段階で摘発するためには、その前から特定の市民、団体を監視対象にしなければならなくなります。
 すでに、現行法のもとでも、「犯罪予防」「公共の秩序維持」を口実とした市民の監視、プライバシー侵害が横行しています。
 計画(合意)段階で犯罪が成立することになれば、捜査の名の下に、さらに日常的かつ広汎な監視がなされることは明らかです。
 

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編集発行    共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 (構成団体)
  社会文化法律センター/自由法曹団
  青年法律家協会弁護士学者合同部会
  日本国際法律家協会/日本反核法律家協会
  日本民主法律家協会/日本労働弁護団
 (連絡先)日本民主法律家協会
 〒160-0022 東京都新宿区新宿1丁目14番4号AMビル2・3階
               TEL03-5367-5430

 


 

 

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だから私たちは共謀罪に反対する! 

 

今も行われている市民監視の実態  (事例集)
     

                                     2017年5月9日 
                                共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
 
目    次


  はじめに ~具体的事実に即して共謀罪の問題点の検証を~ 

  

  大垣警察市民監視事件と共謀罪 

  大分県・別府警察署による盗撮事件 

  イスラム教徒もあなたも~イスラム教徒監視事件 

  自衛隊の国民監視差止訴訟からみた「共謀罪」の危険性 

  名古屋市マンション建設反対運動弾圧事件 

  倉敷民商事件と共謀罪 7

  緒方宅電話盗聴事件無反省の警察に「共謀罪」は渡せない! 

  「堀越事件」と共謀罪による「捜査構造」 

    

 
 はじめに ~具体的事実に即して共謀罪の問題点の検証を~


 通常国会に共謀罪を新設する「組織的犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「法案」という)が提出され、審議が行われている。
 政府は、法案を「テロ等準備罪」と読んでいるが、「テロ対策」とは名目に過ぎず、話し合いや内心で考えたことを処罰するという本質において、これまで3度廃案になった共謀罪と何ら変わるところはない。
 今回の法案の審議では、安倍首相や金田法務大臣らが、具体的論拠を示すことなく、「一般人が対象となることはあり得ない」、「日本が監視社会になることはない」と断言する答弁を繰り返している。
 しかし、法案の内容を素直に読む限り、法案が一般人をも対象とすることは明らかである。また、共謀罪を摘発するためには、日常的に市民を監視することが不可欠となる。政府の説明は、法案の規定をあまりに無視したものといわざるを得ない。
 政府の説明のもう一つの問題点は、事実に基づく検証を行わないまま一方的な見解を述べていることだ。共謀罪によって、一般人が対象となることは本当にないのか、監視社会がもたらされることは本当にないのか。この疑問には、事実による検証によって結論を出さなければならない。
 私たち法律家は、具体的な事件を通じて、捜査機関の具体的な活動内容に直接触れる機会が多い。そこで、警察による市民監視が問題となった具体的事件を紹介し、先の疑問を検証することとした。
 これらの事例が示しているのは、捜査機関は現在でも、違法合法を問わず、市民に対するを監視を日常的に行っているということである。共謀罪が創設されれば、その監視活動はいっそう強まるだろう。そして、市民に対する監視活動は、市民の間の自由な交流や意見表明を萎縮させ、民主主義の基盤を蝕んでいくことが危惧される。

 共謀罪に関する国会審議が、このような事実を基礎にして行われることを強く期待するものである。
 
 大垣警察市民監視事件と共謀罪

         弁護士 山田秀樹(岐阜)

 岐阜県大垣市において、共謀罪の先取りとでもいうべき事件が起きている。
 2014年7月24日付け朝日新聞は、「岐阜県警が個人情報漏洩」との見出しのもと、「岐阜県大垣市での風力発電施設建設をめぐり、同県警大垣署が事業者の中部電力子会社『シーテック』(名古屋市)に、反対住民の過去の活動や関係のない市民運動家、法律事務所の実名を挙げ、連携を警戒するよう助言したうえ、学歴または病歴、年齢など計6人の個人情報を漏らしていた。」と報じ、大垣警察による情報収集とシーテック社(シ社と省略)との情報交換が明らかとなった。私たちは、これを大垣警察市民監視事件と呼んでいる。
 この事件が明るみに出たのは、シ社が、警察との情報交換を記録した「議事録」を残していたからである。我々は裁判所の証拠保全の手続によってこの議事録を入手したところ、情報交換は4回行われていた。議事録から、警察の発言とされる部分を抜粋する。なお、原文のままで、当事者名は仮名とした。
 ㋐「岐阜新聞7月31日(水)版に『大垣市上石津町で風力発電について学ぶ勉強会が行われた』ことが掲載されたことを知っているか。」「同勉強会の主催者であるA氏やB氏が風力発電に拘らず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物であることを御存じか。」
 ㋑A及びBは、「同じ岐阜県内で活発に自然破壊反対や希少動物保護運動にも参画しており、岐阜コラボ法律事務所とも繋がりを持っている。」
 ㋒「また、大垣市内に自然破壊につながることは敏感に反対する『C氏』という人物がいるが、御存じか。本人は、60歳を過ぎているが東京大学を中退しており、頭もいいし、喋りも上手であるから、このような人物と繋がると、やっかいになると思われる。」
 ㋓「このような人物と岐阜コラボ法律事務所との連携により、大々的な市民運動へと展開すると御社の事業も進まないことになりかねない。」「大垣警察署としても回避したい行為であり、今後情報をやり取りすることにより、平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いする。」
 ㋔Bが、「風車事業に関して一部法律事務所に相談を行った気配がある。」
 ㋕「Aは、岐阜コラボ法律事務所の事務局長である『D』と強くつながっており、そこから全国に広がってゆくことを懸念している。現在、Dは気を病んでおり入院中であるので、速、次の行動に移りにくいと考えられる。」
 ㋖「Cは、徳山ダム建設中止訴訟を起こした張本人である。」「反原発・自然破壊禁止のメンバーを全国から呼び寄せることを懸念している。」
 これは、警察による市民監視という他ない。その根本には、警察が市民運動を違法視していることにある。
 岐阜県警は、監視対象となった当事者からの「公開質問状」や「抗議・要求書」に対して、「大垣警察署員の行為は、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環であると判断いたしました。」と開き直っている。
 共謀罪が成立すれば、警察が市民運動を「組織的犯罪集団」と一方的に決めつけ、監視が行われることは必至である。
 
 大分県・別府警察署による盗撮事件

         弁護士 河野善一郎(大分)
1 事件の概要
  昨年7月の参議院選公示前の6月18日深夜に、大分県別府警察署の捜査員2名が、民進党の野党統一候補を支援していた連合    

大分労組や社民系の平和運動センターが入っている「別府地区労働福祉会館」の敷地内に無断で侵入し、2箇所の木立に木の葉で  

カムフラージュしたビデオカメラを設置して、公示後の同月24日に発見されるまで、会館に出入りする人や車を隠し撮りしていた事件が発覚した。会館関係者が保存していた記録媒体の映像がテレビで報道されたが、会館に出入りする人の顔や車のナンバーが明瞭に読み取れる状態であった。
 後日県警は、参議院選の選挙違反事件の捜査のためと弁明したが、現行犯性がなく、会館を出入りする人物を無差別に撮影しているから、むしろ選挙、政治活動の動きや人と人の接触情報の収集を目的とした疑いが濃厚である。
2 警察は大量のビデオメラを日常的に使っている
  さらに今年3月議会で、県警はビデオカメラを190台所有しているうえに、業者から平成27年度79台(560万円)、28年度59台(390万円)リースして多額の県費を使っていることが明らかにされ、警察が日常的に大量のカメラを使用している実態の一端が判明した。全国では驚くべき数になる。
3 事件発覚後も警察庁が令状なし盗撮を容認
 警察庁は、本件が発覚した後の平成28年8月26日、「捜査用カメラの適正な使用の徹底について(通達)」を出した。
 この中で「捜査用カメラによる被疑者の撮影・録画(以下「撮影等」というは、その捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われる場合に限り任意捜査として許される。」として、令状なしの盗撮を容認している。
4 共謀(内心の意思)を探るには盗撮、盗聴しかない
  共謀は、内心の意思の合意であるから、それを把握しようとすれば、人の行動、人と人の接触、会合、会話、通信などを探るしかない。盗撮、盗聴が野放しにやられる恐れが現実になる。
 市民団体や労働団体の活動でも、抗議の座り込み(組織的威力業務妨害罪)、団体交渉(組織的強要・監禁)、ビラ配布(組織的信用毀損罪)等々が対象にされる。
 本来の市民団体は対象にならないなどと政府は答弁しているが、市民団体等でも、組織的に上記の行動を行うことを役員会で決めれば、その時点から組織的犯罪集団に一変したと見做されるのである。一変したと見做す「疑い」は、警察が抱く疑いであるから、警察は、盗撮、盗聴をその「疑い」を裏付ける証拠として、最大限に活用するであろう。
 共謀罪は、間違いなく監視社会、盗聴社会をつくり出す。
 
 イスラム教徒もあなたも~イスラム教徒監視事件

                 弁護士 梓澤和幸(東京)

 共謀罪法。適用される277の犯罪一覧表を見つめては毎日ため息をつきながらツイッターを書き、寸劇の台本を作る。法律を専門としていない国会議員、市民の方々にとっては本当の怖さはまったく霧の中だと思う。
 この闇に光をあてるためにイスラム教徒(以下ムスリムという)に行われた捜査のことを振り返ってみたい。ムスリムが味わった恐怖、不安、孤独を次にこの文章を読むあなたも味わうことになるかもしれない。
 2010年10月28日ごろ 在日のムスリムに災難が襲いかかった。警視庁公安部が国際テロ犯罪の捜査と称して行ってきたイスラム教徒捜査の記録フアイル114点がインターネット上に公開拡散された。
 犯罪の実行はもちろん、嫌疑もないのに、ムスリムというだけで捜査対象となった個人の氏名、住所、写真、取引先、交友関係が詳細に記録されていた。
 近隣の交際、商取引、などに深刻な影響が出たうえ、信仰に関する情報を突如自分の意思に関係なく拡散されたことへの不安は少なくなかった。
 しかし一層の憤りはムスリムであるというその一点で違法にして執拗な捜査の対象とされたことである。
 イスラームの礼拝に現場で立ち会った人ならば誰しも大地や床に身を投げうち、すすりなくように神と対話しながら祈る敬虔な姿に心を打たれると思う。信仰とはそのようなものなのだ。
 流出した資料が語る捜査はかかる内心の営為の核心に踏み込むものであった。毎週金曜日にモスクに祈りに参集する人々の一人ひとりの出入りを確認し、自宅まで尾行して住所氏名一覧表を作り上げた。自宅に複数の警官が身分証明書も呈示せずに入り込んできた。レンタカー記録、銀行の取引記録も調べられた。
 流出した警察の内部文書にはその「成果」が誇らしげにこう記されている。
「わが国には9万人を超えるOIC(筆者注イスラム諸国会議機構57か国加盟)諸国出身者が居住するとみられていますが、昨年のサミット(北海道洞爺湖サミット)までに、略72000人 (把握率98パーセント 原文のまま)を把握できました。以下略」
 関東地域圏テロ担当補佐等会議概要 警察庁 1・9(平成21年1月14日 国際テロリズム対策課)(文書の引用は青木理ほか編 国家と情報 現代書館 2011年198ページから)内部資料に実名で記載された被害者は国家賠償請求訴訟を起こした。一審(判例タイムズ2016年3月号掲載)に始まり上告審まで、裁判所は機微に触れる個人情報が拡散したことの警視庁(東京都)の管理責任は認めたが、捜査の違法、個人情報の収集、保管、管理についての違法は認めなかった。司法とて頼りにならぬ。
 所得税法や消費税の節税相談会が法違反とされ、著作権法違反(歌や朗読の入る集会)、商標法違反(コピーブランドのバザー)、森林法違反(山菜狩り、キノコ狩りの準備)、組織的威力業務妨害罪(住民運動ピケットをやるとのの集会)など市民団体、労働組合の行う勉強会、集会は共謀罪を使っていくらでも「適法的な捜査の名目で」干渉と監視、スパイの対象となる。
 昨日ムスリムに向けられた牙はいま私たちに、向かってきている。
 
 自衛隊の国民監視差止訴訟からみた「共謀罪」の危険性
     -国民「監視」から国民「弾圧」へ-

                    弁護士 小野寺義象(宮城)

 共謀罪による国民監視の危険が指摘されているが、それを裏づける事実が、自衛隊情報保全隊の国民監視差止訴訟の中で明らかにされている。

 政府は、「共謀罪は一般人とは無関係」と言っているが、これが事実に反することは、自衛隊の内部文書(裁判所が自衛隊作成文書と認定したもの)をみれば明らかである。
 自衛隊は、イラクへの自衛隊派兵に反対する一般市民の集会やデモなどを「反自衛隊活動」と呼んで敵視し、個人が特定できる写真撮影や録音、実名・職業・所属団体・政党などの個人情報の収集をまで行っている。
 監視の範囲も、自衛隊とは関係のない年金改悪反対・消費税増税反対の運動、写真展や小林多喜二展にまで及び、一般市民、国会議員、地方議会議員、新聞記者、学者、映画監督、弁護士会も監視対象になっていた。生協前でイラクへの自衛隊派兵反対ライブをしていたシンガーソングライターは、実名や職業まで追跡調査された。
 しかも、裁判所がこれは違法なプライバシー侵害として国家賠償を命じ、国自身も上告を断念したにもかかわらず、謝罪も反省もない。
 このように国民監視態勢はすでに完成しているといえる。
 この監視の目的について、自衛隊の教科書(教範)には、このような「探知活動」は「無力化活動」のための情報収集であり、「無力化活動」には「敵等の情報・謀略活動を無効化する分野(防勢的活動)」だけでなく、「情報・謀略活動を行う敵部隊等の撃滅、施設・機材の破壊等により敵の情報・謀略活動そのものを排除する分野(攻勢的活動)」も含まれていると記載されている。つまり、自衛隊が「敵」に該当するとすれば、一般市民であっても「無力化活動」の対象になるのである。
 この「無力化活動」を実施できる法律が現在はない。
 「共謀罪」は「無力化活動」実施の突破口となる法律である。
 共謀罪の成立によって、「監視」から「弾圧」の時代が始まる。これは絶対に阻止しなければならない。
 
 名古屋市マンション建設反対運動弾圧事件

              弁護士 中谷雄二(愛知)

1 平成28年10月7日、名古屋市内の閑静な住宅街に建設中の高層マンションの建設現場に出入りしている大型ダンプの監視活動をしていた反対派住民のリーダーの男性(O氏60歳)に現場監督が立ちはだかり、両手で抱え込むなどした。
 束縛を逃れようと、O氏が両腕を組んだまま身体をねじった際、現場監督と軽く接触、現場監督が体勢を崩して、後ろにいた大型ダンプの荷台側面に触れた。現場監督はただちに110番通報し、O氏は「傷害罪」で勾留、その後、暴行罪で起訴された。現在、O氏は暴行の事実はなかったと無罪を主張して争っている。
2 O氏は自営業者で自宅近くで店舗を経営している。家族と一緒に住み逃亡の恐れなどない。ところが、否認したことを理由に14日間に及ぶ勾留がされた。勾留終了後、釈放をされて、暴行罪で在宅起訴された。ところが、釈放の前日には自宅と経営する2か所の店舗にも家宅捜索が行われた。釈放を目前に控えた家宅捜索は異例であり、何も差し押さえるべきもの出てこはなかった。
3 住宅街に高層マンションの建設計画が公表されたことから地域住民は住環境の悪化を心配し、計画変更を求めたが、建築会社はまともに取り合おうともしなかった。住民は、法的な争いと合わせて建築現場の出入り口にカラーコーンを置くなどの抗議行動・監視活動を繰り広げてきた。
 起訴後開示された証拠によれば、住民が抗議行動を行う度に建設会社の現場監督や代理人弁護士から110番通報等が頻繁に行われていた(現場監督の証言では13回110番したと証言している)。事件前日には、警察官7名が建設現場に来ていたことを付近住民は目撃している。
4  この事件では全く政治活動の経験などないマンション建設反対運動のリーダーが逮捕された。警察・検察は、企業側から住民が事業を妨害していると訴えられるや、紛争を調整するのではなく、一般住民を逮捕・勾留し、起訴まで行った。地域の平穏を守り、安全をまもってくれる筈の警察は、住民の言い分を聞くこともなく企業側に立ち強行措置をとったのである。
 共謀罪が導入されれば、この事件のように軽微な接触すらない段階でも、住民が大型車両の出入りを実力で止めようと話し合っただけで、準備行為(プラカードの作成等)があれば、組織的威力業務妨害罪の共謀で、逮捕することが可能となる。
 その時、逮捕されるのは、「組織的犯罪集団」として政府が宣伝する「テロ組織」などではなく、「〇〇地区の住環境を守る会」のメンバーが逮捕される可能性があること、一旦、逮捕勾留されれば、大変な被害を被ることをこの事件は教えている。

 
 倉敷民商事件と共謀罪
   弁護士 岡邑祐樹(岡山)
1  倉敷民商事件とは
 広島国税局は、2013年5月、全国商工連合会(全商連)加盟の倉敷民主商工会(倉敷民商)の法人会員I(後に退会)の法人税法違反にかこつけて、倉敷民商の事務所とIの事務所に法人税法違反で国税犯則取締法に基づく捜索差押えを行った。その後、2014年1月、岡山県警は、I担当の禰屋町子さんがIの脱税を手助けしたとして法人税法違反幇助(勾留までは共同正犯が被疑事実だった)及び税理士でないのに会員の税務書類を作成したとして税理士法違反で逮捕・起訴した。同年2月には、事務局長の小原淳さんと事務局次長の須増和悦が税理士法違反で逮捕起訴された。
 2013年の国税犯則取締法に基づく捜索差押えでは、広島国税局は倉敷民商から、事務所にあったパソコンのすべてやIと関係のない会員の記録まで差し押さえ、Iからも元帳等を差し押さえた。この記録をもとにして国税局は法人税法違反のストーリーを作ってIの社長とその妻に認めさせ、I以外の会員についての税理士法違反の資料としたのである。
2  民商と共謀罪
 本事件では、弾圧の材料とされたのは直接的には税理士法違反(倉敷民商職員による会員の税務についてのサポート)であるが、倉敷民商会員の脱税疑惑が弾圧の契機となった。税理士法違反について、捜査当局は強制捜査以前には強制捜査が認められる程度の証拠を何ら得ていなかった。逆に言えば、ある程度の脱税疑惑がなければ、倉敷民商の弾圧に踏み切れなかったともいえる。
 一方で、現在審議されている共謀罪の対象構成要件には、法人税法違反も含まれている。テロ対策と法人税法違反とがどう関係するのかと首をかしげたくなるが、共謀罪が新設されたならば、民商の正当な活動が、法人税法違反の準備行為として捜査の対象となる恐れが十分にある。
3  岡山県警の横暴
 本事件の捜査に当たっては広島国税局だけでなく岡山県警も国家権力としての本性をあらわにした。
 岡山県警は、捜査員を多数投入して倉敷民商会員のほぼ全員に聞き込みをかけるローラー作戦を展開し、その中で、倉敷民商が犯罪組織であると会員に吹聴して、倉敷民商からの脱退を促したのである。その結果、倉敷民商からは脱退者が続出した。
 また、裁判が始まると、支援者に混じり支援団体のビラを受け取って誰ともしゃべらない不審な者が何回も傍聴に来ていた。私はその者を常に監視していたが、目が合うとすぐに背け、裁判後はただ一人報告集会に出ず、裁判所を後にしていた。私はその者が公安警察であったことを確信している。支援者になりすまして市民の運動を監視するというなんとも汚いやり口である。
 また、禰屋町子さんの第1審判決の言い渡しについては、岡山県警40名ばかりが法廷に投入され、裁判長の走狗となって傍聴人を強制的に追い出した。本来市民を守るべき警察が善良な市民に牙をむいたのである。情けない限りである。
4  共謀罪は廃案に
 このような横暴な警察に、強力な弾圧の武器である共謀罪を与えることは断じて避けねばならない。共謀罪は廃案にするほかない。
 
 緒方宅電話盗聴事件無反省の警察に「共謀罪」は渡せない!

                        弁護士 弓仲忠昭(東京)
 
 1986年11月、当時、共産党の国際部長だった緒方靖夫さん宅の電話盗聴が発覚した。緒方宅電話の電話線が約200メートル先の「メゾン玉川学園206号室」に引き込まれ、同室内の電話器で緒方宅電話の通話内容が盗聴できる状態になっていた。緒方さんの告訴(電気通信事業法違反、職権濫用罪等)を受けた東京地検特捜部の捜査の結果、206号室内で押収した文書類の筆跡、複数の指紋、神奈川県警職員共済組合関係文書などから、盗聴実行犯として神奈川県警警備部公安一課所属の5名の現職警察官が特定され、処罰可能な証拠もあった。
 しかし、検察庁は不当にも5名の警察官を不起訴(2名は起訴猶予)にした。当時の伊藤栄樹検事総長がその回想録「秋霜烈日」で、「おとぎ話」として、「末端部隊による実行の裏には、警察のトップ以下の指示ないし許可がある」と思われるが、「末端の者だけを処罰したのでは、正義に反する。」「指揮系統を遡って、次々と検挙してトップにまで至ろうとすれば、…、警察全体が抵抗する」等と述べ、今後の警察と検察の協力関係維持のために手打ちをしたことを事実上認めた。

 緒方さん家族は、1988年9月、盗聴警察官と神奈川県警及び警察庁の責任追及のため、民事国家賠償訴訟を提起。被害者緒方さん、支援者、弁護団の三者が固く団結、法廷の内外で警察の不正を許さず真相を究明する闘いを展開し、1994年9月に東京地裁、1997年6月に東京高裁と勝訴し高裁判決が確定した。
 確定判決は、① 緒方宅電話盗聴は、共産党の情報収集を目的とし、県警警備部公安一課所属の3名以上の警察官が関与し10ヶ月近くにわたり継続的に行われた、② 情報収集活動を末端の警察官が職務と無関係に行うことはあり得ず、本件盗聴は、同公安一課所属の警察官が県の職務として行ったと推認できる、③ 警察庁は、一貫して共産党を警備情報収集の対象とし、全国警察に同党関係の情報収集の一般的指示を行い、各県警等が収集した同党関係の情報の報告を受けていたと推認できると警察の関与を認定、国及び県に損害賠償の支払いを命じた。

 裁判所に断罪された警察は、619万円余(遅延損害金を含む)を支払ったものの、未だ緒方さんや家族に対して、一片の謝罪の言葉もないままである。 
  また、事件発覚から約半年後の参議院予算委員会(1987年5月7日)で、山田英雄警察庁長官が、「警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴ということは行っていない」と答弁した。さらに、組織的関与を推認した高裁判決確定後も、高橋清孝警察庁警備局長は、「組織的犯行と断定したものではなかった」、「警察としては、違法な通信の傍受は過去にも行っておらず、今後も行うことはございません」(衆議院法務委員会、2015年4月17日)と警察による組織的・計画的盗聴の事実を否定し続けている。
  未だに組織的盗聴の事実を認めない警察に、話し合っただけで処罰する「共謀罪」という「武器」を与えたならば、その取り締まりを名目に「盗聴」が拡大され、市民の通信の秘密やプライバシーが大きく侵害されることになろう。
 監視社会をもたらす憲法違反の悪法「共謀罪」法案は廃案にするほかはない。
 
  「堀越事件」と共謀罪による「捜査構造」
      ~国家公務員法による政治活動禁止規制にもとづく捜査の実態に照らして

                        弁護士 船尾徹(東京)

「堀越事件」における「捜査構造」

 国家公務員の政治活動禁止規制は、公務とまったく無関係に行われる「勤務時間外」の政治活動を禁止していること、公務員の地位を前提とする、あるいは公務の遂行に関連した「政治的行為」の禁止に限定されずに、市民生活の場における「市民」としての政治的表現行為を広範に禁止する規制となっていること、政治活動に対する制裁として懲戒処分にとどまらず「刑事制裁」まで科す規制となっているなどから(国家公務員法102条1項、110条1項19号、人事院規則14-7)、こうした過度に広範な政治活動禁止規制はかねてから違憲であると圧倒的多数の憲法研究者から指摘され、最近では高裁段階で違憲判決、最高裁段階で無罪判決が出されている。

 こうした政治活動禁止規制にもとづく捜査は、公務員の「勤務時間外」における市民生活を日常的に監視してやまない捜査構造とならざるを得ない。
  目黒社会保険事務所職員が、政党機関紙を各戸に投函するのではないかとの嫌疑のもとに、29日間ほぼ連日、警視庁公安部総務課の警察官が大量に投入され、その間に投入された警察官はのべ171人、とくに勤務のない土・日・祝日には、1日に11人、ビデオカメラ6台、自動車4台といった異様な捜査体制のもとに、その職員の日常の生活行動が執拗に監視・尾行の対象とされ、盗撮されていた(「堀越事件」)。
 この「公安警察」による監視・尾行による情報収集活動の一端が、「行動確認実施結果一覧表」というタイトルの捜査記録として作成されていた。その内容をみて弁護団のだれもが息をのんだ。職員の日常の生活行動が文字通り分刻みで、「公安警察」の監視・捜査の対象となり、その情報が詳細に収集されていた。たとえば10月12日(日曜日)の「行動確認結果」には、

  「12時8分自宅を出てくるの再捕捉、12時25分有楽町駅改札を出たところで氏名不詳の女(身長150cm位、年齢35歳前後)と接触、銀座インズ地下1階『月の雫』に入店、13時20分同店を出る。徒歩にて築地方向、中央区銀座2-15-6『区立中央会館』に入る、14時30分演劇『銃口』を見る、17時25分演劇を終了し同演劇を見ていた男女10名位と、居酒屋にはいる、19時50分居酒屋から出た後、被疑者は女と手をつなぎながら、氏名不詳の男と3人でカラオケ店『デイアナ銀座』(中央区銀座3-9-6)に入店、20時30分視察を打ち切る」
と記載されていた。

 この捜査の責任者(警視庁公安部警視)は証人として、「我々の捜査のスタンスというのは、そういったもの(国家公務員法所定の「政治活動」と無関係の市民生活における「生活行動」をさす)を回避するかどうかとか、そういう問題ではなくて、それは行動確認してみなければ結果として分からない」、「行動確認をしている過程でそれが私生活だからといって、いったん行動確認を打ち切って、そのあと行動が把握できなければ捜査にはならない」と、このとき行われた捜査の実態を証言をしている。
 この証言は、この政治活動禁止規制が「勤務時間外」における「市民」としての政治活動を「刑事制裁」の対象とする広範な法規制のもとでは、「公安警察」は国家公務員法(人事院規則)が禁止している「政治活動」とそうした「政治活動」と無関係の市民としての日常生活における営みを、捜査上分離することなど不可能なことであり、後者の「生活行動」をも含めて網羅的に監視・捜査の対象として実行せざるを得ないことを明らかにしたものである。
 政治活動禁止規制にもとづく公安警察によるこうした捜査は、職員がいまだ犯罪を実行してもいないにもかかわらず、市民生活の場で政治活動を行うのではないかとの嫌疑のもとに行われた「事前捜査」として拡大・増殖し、この職員の市民としての日常生活にとどまらず、その職員の友人・知人らとの日常的な人間関係、さらには職員が参加・交流している特定の団体やメンバーに狙いをつけ、平素から組織的かつ秘密裡にその思想・動向などを監視の対象にした「一般情報」を収集する捜査の重要な一翼を形成しているのである。
 国家公務員法による政治活動禁止規制にもとづく公安警察の捜査の恐ろしさは、監視・捜査の対象を、職員の市民生活、そして、職員がさまざまな政治的思想・信条を有する者との間の日常的な交流にまで拡大し、職員やその知人のプライバシーを全面的に剥奪することにより、市民が自由に情報を交換し自己の意見を形成することを萎縮させる点にある。それは、この国の政治とあり方を自由に決定しようとする民主主義の基盤そのものが破壊されることにつながる。
 
共謀罪にもとづく「捜査構造」と監視社会

 共謀罪の新設は、こうした公安警察にいかなる捜査権限を与えることになるのか。それは市民の自由な意見表明・活動にどのような影響を与えるのか。
 共謀罪の新設は、「予備」「陰謀」にも至らないはるか前の計画・準備段階である「共謀」「合意」にまで「前倒し」して犯罪化することにより、「処罰の網」(構成要件)を広範に拡げる。それに応じて警察の捜査権限は飛躍的に拡大し、「堀越事件」にみられる市民の日常生活を奥深く監視する捜査が横行する「監視社会」をつくり出す。
  共謀罪新設によって警察権力が取得することになる捜査権限は、共謀罪の対象とされた犯罪を実行するための「準備行為」があった時、はじめて発動されるというものではない。「準備行為」前でも、共謀・計画の疑いがあるとして捜査を始めることができるのである(法務省の林真琴刑事局長は、準備行為が行われていない段階でも、「犯罪の嫌疑があり、捜査の必要性が認められる場合、手段の相当性が認められる範囲で任意捜査を行うことが許される」と4月21日の衆議院法務委員会で答弁している)。
 さらには「共謀」「計画」が成立した時にその捜査が始まるというものでもない。「共謀」「計画」が成立していない状況のもとでも、つまり、話し合いや計画などが行われていない時点でも、「堀越事件」において政党機関紙を各戸に投函するのではないかといった嫌疑のもとに監視・尾行・盗撮を行ったように、これから共謀・計画をするのではないかとの嫌疑のもとに、ターゲットとされた市民・団体に対する監視・捜査が行われていく。
 警察庁警備部が1957年に公刊している「警備犯罪に関する諸問題」によると、警察活動を、①犯罪発生後、その捜査のための情報収集活動(「捜査情報」)、②具体的に公安を害する事態又は犯罪発生のおそれがある場合、その予防鎮圧に備えて情報を収集する活動(「事件情報」)、③具体的に公安を害する事態あるいは犯罪発生のおそれはないが、一般的に公安の維持または犯罪の予防鎮圧に備え、平素から情報を収集する活動(「一般情報」、「争議に入っていない平和な状態にある労働組合の組織や動向を調査しておく」活動などがその例として挙げられている)に分類している。
  上記②③の警察活動は、「犯罪そのほか公安を害する事態の発生する以前に行われる事前情報活動であり、狭義の警備情報活動はこれを指す」として、犯罪の具体的発生のおそれとは関わりなしに、平素から組織的かつ秘密裡に特定の団体や個人に狙いをつけ、その組織の動向などの情報収集を行う③の活動こそ、「公安警察」がその本領を発揮する主要な任務とされている。
 そこで、共謀(計画・準備)がいまだ成立する前から「公安警察」は、共謀・計画をするのではないかと平素から狙いをつけた団体とそのメンバーの人間関係、そのメンバーである市民相互の間で行われている室内の会話を含め、携帯電話、電子メール、ライン、ツイッター、フェイスブックなどによって行われている市民相互のコミュニケーションや日常的な行動にかかる情報のすべてを、長期間にわたって網羅的に取得するための監視・盗聴をする捜査権限を求めていくことになる。
 そうしてその団体のメンバーである市民の思想、信条、性格、その友人・知人との交流関係、さらには団体の動向にかかわる情報など、犯罪と無関係の情報までも網羅的に捕捉しようとする「公安警察」の監視・捜査が日常化していく。
 こうした監視・捜査が、偶々逸脱して行われると捉えるのは、共謀罪の本質を正しく把握したことにはならない。共謀罪の捜査は、構造的にそうした監視・捜査を、市民生活のなかに日常的に肥大化させていくのである。2016年に通信傍受(盗聴)の対象犯罪が大幅に拡大された現在、共謀罪が新設されれば、両者が相まって市民相互の日常的な通信・コミュニケーションがたやすく盗聴され、歯止めのない監視・捜査が拡大した「監視社会」へと拍車をかけ、民主主義の基盤ともいうべき市民の自由な活動を萎縮させていく。
 ひとたび「共謀罪」による警察権限を拡大して形成された「監視社会」をもとに戻すことは容易ではない。それはこの国の戦前の歴史に照らし明らかとなっている。
 

 


「共謀罪」法案を廃案に、取り組みの集中を(アピール)

 

                                                2017年4月29日
                                戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

 

 「共謀罪法案(組織犯罪処罰改正法案)」の早期成立をめざす政府・与党は、4月25日の参考人質疑の後、28日からは日本維新の会との法案修正協議を開始しました。
 戦争法(安全保障法制)などと同様に、審議時間かせぎと補完勢力の取り込みで、憲法違反の共謀罪創設がめざされています。
連休中の5月2日にも衆議院法務委員会が職権で開催されるなど、なりふり構わぬ姿勢を政府・与党が強めています。連休明けの国会は、強行採決の危険性が高まる緊迫した状況が続くことは確実です。

 この間、共謀罪の創設に反対する動きは急速に広がっています。
 法案の上程に反対する意見書を出した日本弁護士連合会、法律家の団体や刑法研究者、立憲デモクラシーの会、市民連合など戦争法に反対して運動を進めている団体、日本ペンクラブやメディア関係者、日本劇作家協会、世界平和アピール7人委員会などが、反対声明を相次いで公表しました。
 反対運動も、共謀罪NO実行委員会と総がかり行動実行委員会が共同する集会や国会行動が連続して取り組まれています。
全国各地でも、共謀罪反対のデモ、宣伝、集会、学習会などが旺盛に取り組まれ、地域から世論を作り上げてきています。

 4月26日に開かれた立憲野党4党の幹事長・書記局長会談では、「共謀罪廃案に向けての結束」が確認され、今村前復興大臣問題や森友学園問題での追及もあわせ、政府・与党と真正面から対決する国会状況が作られようとしています。

この間のわずかな審議時間の中でも、政府が言う国際的なテロ組織への対策という口実や、一般市民は対象外などという説明が嘘とごまかしであることや、市民監視の「フリーパス」を警察権力に与えることになるなど、その危険性も明らかになっています。

 市民と野党の共闘を強めて政府・与党の暴走をくい止めることは可能です。そのためには、全国から国会、国会議員に対し、共謀罪反対の声を突きつけ、包囲し、廃案を目指す野党と力をあわせてたたかいを大きくしていくことが必要です。
 総がかり行動実行委員会は、緊迫する国会状況をふまえ、当面する行動を以下のように呼びかけます。
 心ある市民の皆さん、団体の、行動への賛同と結集を強く呼びかけます。

 

〇 5月3日に全国各地で開催される「憲法集会」をこれまでにない規模で成功させ、共謀罪創設反対の世論を形にしましょう。
〇 連休中に帰郷する国会議員に対し、要請行動、懇談などの取り組みを行いましょう。
〇 共謀罪創設反対の統一署名の推進とあわせ、街頭宣伝、住民対話などの取り組みを強めましょう。
  

 共謀罪NO実行委員会、総がかり行動実行委員会は、5月13日(土)、14日(日)の両日を、全国一斉の宣伝、署名行動日とすることを呼びかけます。

〇 中央段階では、連休明けから以下の日程で、国会行動、座り込み行動、集会を計画しています。全国での呼応した取り組みや、  

 行動への参加を呼びかけます。
 *5月9日(火)・審議日 昼(12時~13時) 議員会館前行動
            午後(13時30分~)院内集会  
 *5月10日(水)・審議日 昼(12時~13時)議員会館前行動
 *5月11日(木)  夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
 *5月12日(金)・審議日 昼(12時~13時)議員会館前行動
            午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
            夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
 *5月13日(土)、14日(日) 全国一斉宣伝、署名行動
 *5月15日(月)  昼(12時~13時)  議員会館前行動
            午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
            夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
 *5月16日(火)・審議日 昼(12時~13時)  議員会館前行動
            午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
            夕方(18時30分~)  日比谷野外音楽堂集会
                         銀座デモ
 *5月17日(水)・審議日 昼(12時~13時)  議員会館前行動
            午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
            夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
 *5月18日(木)  昼(12時~13時)  議員会館前行動
            午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
            夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
 *5月19日(金)  昼(12時~13時)  議員会館前行動
            午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
          夕方(18時30分~)  国会正門前行動
・行動は、共謀罪NO実行委員会との共催で取り組む予定です。
・国会審議の状況もふまえ、日程を調整することもあります。総がかり行動実行委員会のホームページで確認して、ご参加くださ

   い。
・共謀罪創設反対国会請願署名の第一次提出行動を5月12日(金)昼の行動で行います。集約、持参をお願いします。

 物言えぬ再びの戦前に後戻りさせないために、共謀罪法案を廃案に追いこみ、安倍内閣の暴走政治に歯止めを打ち、退陣を迫る市民運動の高揚につなげましょう。 皆さんのご奮闘とご協力を心から呼びかけます。

                                                                                                                                                           以 上

 


これより上は、共謀罪、下は戦争法関連の記事・資料です


【安保法制違憲訴訟原告募集】

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原告団・サポーター参加申込書

 

(安保法制違憲訴訟 広島の会)

 

 

 

□ 原告団に参加します。

 

□ サポーターに参加します。

 

 

 

平成28年  月  日

 

 

 

ふりがな                                       

 

氏  名                                       

 

住  所 〒      

 

                                           

 

電話番号                                       

 

FAX                                         

 

携 帯                                       

 

-mail                                        

 

下記の属性に当てはまる方は、当てはまるものに○をご記入下さい(任意で構いません)

 

・自衛隊関係者 ・戦争体験者 ・基地周辺住民 ・公共機関労働者 ・その他

 

 

 

原告になりたいと思った理由(例 戦争体験者として,母親として・・・等)を自由にお書き下さい。

 

                                                                                             

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

                                           

 

 

 

安保法制違憲訴訟 広島の会

 

          730-0051広島市中区大手町4-2-27-403

 

          FAX082-245-2502  TEL082-245-2501 

 

          e-mail : hirokaku@c.do-up.com

 



【4・7総がかり行動委員会声明】

 

  戦争法廃止・安倍政権退陣・参院選勝利をめざして、ともに全力を尽くしましょう
  2000万人統一署名を推し進めましょう、5・3憲法集会、6・5国会包囲大行動に        

                   呼応して、全国津々浦々で行動を起こしましょう

 

 全国各地の市民のみなさん

 多数の世論の反対をよそに、3月29日、安倍政権によって憲法違反の戦争法が施行されました。総がかり行動実行委員会はこの歴史的暴挙に心からの憤りを表明すると共に、戦争法を絶対に発動させない、断じて、この国を海外で戦争する国にさせない決意を改めて表明し、心ある全国のすべてのみなさんに、いまこそ総がかりで行動に立ち上がるよう呼びかけます。

 昨年、戦争法案に反対する全国の市民の運動は大きく高揚し、野党各党の共同の動きと結合して、安倍政権の企てを追いつめましたが、戦争法案の採決強行を阻止するには至りませんでした。しかし、9月19日の戦争法案採決以降も全国で運動は継続され、2000万人統一署名運動をはじめ、各所で市民の行動は発展し、さらにこれが「市民連合」をはじめとする各地での参院選挙での共同候補擁立の運動と結びついて展開されています。

  米国に追従し、立憲主義を乱暴に破壊して、海外で戦争をする企てを強め、沖縄辺野古での基地建設を強行し、原発再稼働をすすめ、民衆の生活と権利を破壊する安倍政権の政治には、社会の隅々から怒りの声がわき起こっています。
  総がかり行動実行委員会は、今こそ、これを大きく結合し、安倍政権を追いつめ、打倒するために、お互いが大胆に連携して、可能な限りの行動を展開することを呼びかけます。

  戦争法廃止の2000万人統一署名を推し進め、当面する5月3日の憲法記念日の行動を、首都圏では有明防災公園に結集し、また全国各地では共同のデモンストレーションとして、同時多発の一大行動を繰り広げることを呼びかけます。そして、この力をさらに今国会終了時の6月5日午後、永田町・霞ヶ関一帯で、「戦争法廃止!安倍政権退陣!参議院選挙勝利!6・5国会包囲大行動」として、市民の総結集を行いたいと思います。是非とも全国の皆さまが国会包囲行動に駆けつけてくださいますよう訴えると同時に、昨年の「8・30国会包囲12万人行動、全国1000箇所以上の行動」を上回る行動をもって呼応してくださるよう呼びかけます。この力をもって、戦争法廃止・安倍政権退陣・参院選勝利を実現しましょう。

  4月下旬の2つの衆院補欠選挙を勝利させ、つづく参院選で安倍晋三政権が企てる改憲のための3分の2議席の確保を阻止し、安倍政権を退陣させましょう。

                                    2016年4月7日
                                                                                            戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


【安保法制改正相関図】

 

 3月19日の 広島弁護士会主催講演会「安保関連法案はどうして憲法違反なのか」で、井上正信弁護士が使われた「安保改正相関図」を資料として、ホームページに掲載してほしいという要望がありました。要望にお応えして掲載します。



 【野党合意】

 

 2016年2月19日、民主党の岡田克也代表、共産党の志位和夫委員長、維新の党の松野頼久代表、社民党の吉田忠智党首、生活の党の小沢一郎代表の野党5党首が国会内で会談し、「安保法制(=戦争法)の廃止」や国政選挙で最大限の協力を行うことなど4項目で合意しました。その内容は次の4項目です。

 (1)安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする

 (2)安倍政権の打倒を目指す

 (3)国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込む

 (4)国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う


【教職員は「安全保障関連法案」を拒否する】


主権者はあなただと 教えてきた
日本は戦争しないと 教えてきた
幸せになる権利をみんなが持つと 教えてきた


人を傷つける言動はやめようと 教えてきた
争いは話し合いで解決しようと 教えてきた
意見のちがいを大切にしようと 教えてきた


  平和であること 人が人として大切にされることの大切さを 教えてきた
  教師として 教えてきたことを嘘にはできない
 

国民はそのうち忘れるなどとうそぶく 権力者が
戦争はしないとウソをつく 権力者が
命を道具としか見ない 権力者が


子どもたちが人を殺すことを求めている
子どもたちが殺されることを求めている
子どもたちに嘘を教えることを求めている


  教え子を再び戦場に送るな 古めかしささえ感じていた言葉が目の前にある
  教師として 嘘を教えることはできない
  まして 子どもたちに死ぬことを教えることはできない


日本国憲法を尊重し擁護する義務を負う公務員として
子どもたちの未来に責任を負う教職員として
  わたしたち教職員は
  子どもたちを人殺しにさせない 子どもたちを殺させない


  そのために
  わたしたちは声を上げる
  わたしたちは行動する
.

             2015年7月29日
                                                       全群馬教職員組合


  動画 2分でわかる!集団的自衛権「ほぼAtoZ」

            明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)・制作


7月15日▶京都大人文科学研 藤原辰史さんが発表した「声明書」

 

 子どもの本・九条の会の三浦精子さんから送られてきたメールです。

 

   みなさま

     すでにご存じの方も多いかと思います。7月19日付の朝日新聞33面社会面に、15日の前夜、京都大学吉田キャンパ  

    スの教室で次のような声明書が読み上げられたそうです。

 

戦争は、防衛を名目に始まる。
戦争は、兵器産業に富をもたらす。
戦争は、すぐに制御が効かなくなる。
戦争は、始めるよりも、終えるほうが難しい。
戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。
戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。

精神は、操作の対象物ではない。
生命は、誰かの持ち駒ではない。
海は、基地に押しつぶされてはならない。
空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。
血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。

学問は、戦争の武器ではない。
学問は、商売の道具ではない。
学問は、権力の下僕ではない。

生きる場所と考える自由を守り、創るために、私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ち込まなくてはならない。

 

 この文案を作り、読み上げた人は、京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さん(38歳)。学者・研究者、市民合わせて賛同者が3万人を超えた「安全保障関連法案に反対する学者の会」と学生たちによる緊急シンポジウムの会場。約600人の参加者でぎゅうぎゅう詰めになった熱気が漂う教室で読み上げられた。この感銘深い文案を、ぜひ拡散したいと思います。深く噛みしめたい文言です。
                                 子どもの本・九条の会広島 事務局長 三浦精子


7月19日▶はぷどん主催「まもスマ☆パレード」チラシ


6月27日▶浄土真宗本願寺派安芸教区「平和を語る集い」の声明

             憲法解釈変更による新たな安全保障関連法案にかかる声明

 70年前、人類史上初の原子爆弾が、35万都市広島の市街地上空に投下されました。壊滅的な被害のもと、同年暮れまでに14万人という人命が失われ、生き残った人たちの多くも、後遺症や放射線障害に苦しみ続けてきました。ヒロシマの三日後に原爆が投下された長崎も同様であります。このヒロシマ、ナガサキに先立ち、沖縄では20万を超える人命が失われていきました。第2次大戦においていのちを落とされた方は、日本全体では300万人、全世界では6,000万人とも8,500万人ともいわれます。それだけの人の未来とその人とのつながりが絶たれていきました。悲しきかな、私たち浄土真宗の宗門も、教義を歪めてまでその戦争に加担してきた歴史を抱えています。
 そうした暗い過去から学びとった希望の光、それが今の日本国憲法です。その平和憲法のもと、二度と過ちを繰り返さないことを誓い、日本はこれまで憎しみの連鎖を生む武力による問題解決の道を否定し続けてきました。過去の反省に立ち、我が国の現状をうかがうに、日本国憲法の示す対話を基本とした問題解決の道から大きく方向を変え、安全・平和の名のもとに武力をも行使するという、いわば平和のための戦争という過去の過ちを繰り返す方向に突き進んでいると深く危惧します。
 仏陀の「兵戈無用」のお諭しに立ち返り、親鸞聖人の「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」とのお言葉に導かれ、「非戦・平和を願って70年」をテーマに掲げてここに集う「平和を語る集い」参加者一同、非戦・平和への自らの決意を新たにし、今回の憲法解釈変更による集団的自衛権の行使を含む新たな安全保障関連法案に反対し、その廃案を強く求めます。             

                   2015年6月27日                                                                                                                                「平和を語る集い」参加者一同


7月12日▶強行採決に反対し、「戦争法案」の廃案を求める決議

 今年は、アメリカによる広島・長崎への原爆投下、そして日本が引き起こしたアジア太平洋戦争の敗戦から70年の節目の年です。この侵略戦争への反省から、日本国憲法が生まれ、憲法9条で「戦争と武力の行使は永久に放棄する」「国の交戦権はこれを認めない」と定めました。
 ところが今安倍政権は、その憲法9条を法律で破壊しようとしています。憲法が定めた手続きを無視し、憲法は為政者を縛るものであるという立憲主義を真っ向から否定しようとしています。
 広島に生きる私たちは、世界中の争いが一つでもなくなることを願っています。市民をないがしろにし、命を危険にさらす国づくりに断固反対します。戦争法案の強行採決は絶対に許しません。戦争法案は必ず廃案にしましょう。

          2015年7月12日
                                ストップ!戦争法 7・12ヒロシマ集会参加者一同


7月12日▶ストップ!戦争法7・12ヒロシマ集会へのメッセージ

◆平岡敬元広島市長
 「ストップ!戦争法 ヒロシマ集会」に結集した皆さんに対し、心からの敬意を表し、支持と連帯を表明します。特定秘密保護法に始まり、集団的自衛権、安保関連法案、原発再稼働と続く安倍政権の暴走は、メディア報道へのあからさまな介入にまで至っています。このままでは、日本の民主主義は崩壊します。
 戦後七〇年……民主主義と平和を守り発展させてきた広島に生きる私たちは、自衛隊が地球上どこへでも出かけ、米軍とともに行動するための法制には断固反対します。いま日本がなすべきことは、歴史を学び、近隣諸国との友好関係を深め、対米従属の政治を清算することです。
 次代を担う若者たちが、再び戦場へ赴くことがないよう、共に力を合わせて、日本の政治を根本から変えて行きましょう。


◆亀井静香衆議院議員(無所属)
 国民の理解を得ることなく、一内閣一国会の国会議員のみで憲法9条に込められた国是を解釈改憲するなどあってはならない。我が国が平和の道を歩み続けるために、広島から日本中へ「平和を願う」強い思いが拡散していくことを祈念いたします。

 

◆森本真治参議院議員(民主党)
 ストップ!戦争法案7・12ヒロシマ集会に結集されたみなさんにご挨拶申し上げます。
 戦後70年、被爆70年という節目の年に我が国の平和国家としての歩みをとめる安保法制の改悪が行われようとしています。
 あの戦争から70年が経った今日を平和で迎えることができたのは、憲法9条を堅持し、不戦の誓いを守り続けたからです。しかし、安倍政権は、過去の国会論戦や政府解釈で集団的自衛権の行使が認められていないことが確定しているにも関わらず、憲法解釈を変更し、これを認めるとは言語道断であり、立憲主義の破壊であります。また、憲法審査会においても与党推薦の参考人を含む、すべての憲法学者が平和安全法制は憲法違反と断じています。そして地方議会においても廃案や撤回を求める多くの意見書が可決され、また、多くの国民が繁多視しているこの法案を絶対に廃案にしなければなりません。
 私は広島で生まれ育ったものとして、また、広島県選出の国会議員として、何よりも強く平和を求め、その実現に貢献する所存です。本集会に結集されたみなさんとともに安倍政権の暴走を食い止めるべく、全力で闘っていく所存です。ともにがんばりましょう。

 

◆大平喜信衆議院議員(日本共産党)
 「ストップ!戦争法7・12広島集会&デモ」にご参加のみなさんに心からの連帯のあいさつを送ります。みなさんのご奮闘によって、戦争法案に対し国民的な反対の声がうねりとなって広がっています。私も参考人質疑を行った憲法審査会では、自民党が推薦した憲法学者も含め、3人そろって「戦争法案は憲法に違反する」という意見表明が行われ、潮目は完全に変わりました。それでも安倍政権は会期を史上最長の95日間、9月27日まで延長するという執念を見せています。
 この邪悪な法案を阻止できるかどうかは圧倒的多数の反対世論を作り、列島騒然という状況をつくることだと思います。そのためには、本日のような「戦争法案反対」の一点での壮大な国民的共同をつくることが決定的な力であり、心から敬意を表するものです。私も皆さんと力を合わせて全力で闘うことをお誓いしメッセージといたします。

 

◆柳田稔参議院議員(民主党)
 皆さまの日々の真摯なご活動に心より敬意を表します。国会では、安倍政権が立憲主義を無視した安保法制を強行しようとしています。民主党は憲法の平和主義を守る立場から政府案には断固反対です。広島の被爆から70年、日本が平和を実現できたのは憲法9条があったからです。武力では平和をつくることはできません。次の世代へと、この平和を引き継いでいくために、戦争法案の廃案に向けて皆様と一緒に頑張っていきます。ご支援よろしくお願いいたします。

 (事務局よりー柳田議員からのメッセージは午前中に事務所に届いたようですが、実行委員は会場設営のため午前8時に事務所を  

  出ており、集会での紹介はできませんでした。この欄で紹介させていただきます。)


7月3日▶記者会見での呼びかけ人発言 全文

 

 ◆秋葉忠利さんの発言要旨

 この集会は大事だと思います。たくさんの方が参加できるようにマスコミの皆さんには報道していただきたい。
 憲法学者の皆さんが頑張って意思表示してくださったあたりから、マスコミや社会の風潮がずいぶん変わってきているように思います。ようやくこの問題が、いわゆる政治的な問題ではなく、もっと根本的な我々の社会の成り立ちそのものにかかわる重大な問題だということが伝わり始めていると思います。できるだけたくさんの人にこの集会にとにかく出てきてもらいたいです。数が大事です。数が大事というのは、「アラブの春」で分かりましたが、インターネットツールTitterやFacebook、Lineその他様々なコミュニケーションツールで何人の人がどういうことをやっているのか、そのメッセージがどういうものなのかということが瞬時に伝わりますから、たとえば広島で起きたことが熊本の人たちに伝わって「だったら!」という雰囲気はすぐ出来上がる時代ですので、それを活かしてもっともっと力にしていけたらと思います。
 一言だけ、なぜ我々主権者である国民が頑張らなくてはいけないのかということを説明しておきたいと思います。
 解釈改憲というのは四重に憲法違反です。まず前文に違反していますし、憲法9条違反です。それから改正手続きを定めている96条違反。最後に、99条、憲法順守義務違反です。
 99条に何が書いてあるかというと、「天皇又は摂政及びあるいは国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書いてあるんです。残念ながら今この義務を履行しているのは、天皇だけです。天皇があれだけ熱心に憲法について順守する意思を表明している。それは素晴らしいことなんですけど、残念ながら憲法上の規定では天皇にはそれをどうこうする権限が与えられていません。実は、その権限を持っているのは、天皇や国務大臣を含む公務員たちに憲法順守義務を負わせている我々主権者国民なんです。ですから天皇が義務を順守しているということ、それに応えて、我々が立ち上がって、たとえば長期的には総理大臣のリコール制度をつくるとかいったことが必要になりますけれども、とにかく今の内閣が行っていることは明確に憲法の破壊、日本国の破壊であるということを意思表示することが大事です。
 そこで一番大きな力になるのは「数」です。ですからできるだけたくさんの人に7月12日に来ていただいて、「数」で主権者たる国民の意思をはっきりと示しましょう。意思表示をするのは今です。今じゃないと遅いです。
 選挙権が18歳に下げられました。今までの世界の歴史を見ると、そのあとに何が続くかというと、「権利だけじゃないんだ、おまえらには義務があるんだ」ということが必ずでてくるんです。その「義務」は何かというと、「徴兵の義務」です。
 ですから今我々が立ち上がって、その連鎖を断ち切る。そこをはっきりしておかないと手遅れになります。そういう事態が起こるのは、今の若い人たちが、結婚して子どもが生まれて、その子どもたちが18歳になるときに実現する話かもしれません。でも今立ち上がらないと、その連鎖は断ち切れないということです。

 

◆二階堂和美さんの発言要旨

 二階堂和美といいます。歌手で、浄土真宗本願寺派の僧侶でもあります。私はこの呼びかけ人の皆さんの中では一番不勉強だろうと思います。「私のような者が…」という思いもありました。それでも一人くらいは、感覚的なところで「これは絶対におかしい」と思って動くママがいてもいいだろうと思いました。また、私を通してこのアピールやデモのことを知ってくださる方が一人でも増えてくれればと思って呼びかけ人になりました。
 戦争に向かっているこの法案をとても恐ろしく思っています。私たちはこの広島に生まれて育って、この日本に暮らして、今までせっかく武力を持たずにきたものを、どうして今またそっちに向かってしまうのか、発想がそもそも間違っていると思います。
じゃあどうやって国を守るのかと言われて、名案が出せるわけではありませんが、私は一人の人間として、また日本をよりどころとさせていただいている者として、人を殺めるということが絶対にあってはならないと思います。
 一人ひとりの人間が、世界中の人が、みんな自分の心にきちんと問う。人と人とのつながりというものをもう少し考える。そして将来に想像をめぐらせる。何世代か先のことまで考える。そうした立ち振る舞いをすることで、世界中の争いが少しでもなくなるのではないかと、私は信じています。
 この呼びかけにも一人でも多くの方、あまり自分はよくわかっていないからという方にでも、「戦争を起こしてはいけない」という思いひとつだけでもこの場に一緒に集まっていただきたいです。戦争に近づいてしまう恐ろしい法案は必ず廃案にしてほしい、その願いを、みんなで集まることで再確認をして、その声を伝えていきたいと思っています。
当日、「伝える花」という曲は必ず歌うつもりです。被爆70年という節目の年に平和というものを改めて思い直してつくった曲です。その曲の2番に、「受けた悲しみは決して返しはしない」という歌詞があります。集団的自衛権の解釈に対する反抗心というか、「そうではないよ」という気持ちを歌のなかに込めました。

 

◆湯浅正恵さんの発言要旨

 現在、国会に提出されている法案は、内容も、手続きも問題だらけです。そのことは既にマスコミや国会討論で十分に詳らかにされており、ここで網羅できませんから繰り返しません。
 例えば憲法研究者は235人(6月29日時点)、学者や研究者全体では8332人(7月3日時点 http://anti-security-related-bill.jp)がこの法案への反対を表明しています。私もその一人です。これだけの疑義のなか、この法案を押し通そうというのは、非合理的であるのはもちろんのこと、暴力的であるといえるでしょう。
現在の問題は、この法案が良いか悪いか、適切か否かではなく(それらは既に明確なので)、この暴力をいかに止めるかということです。
 暴力はエスカレートします。この暴力を容認すれば、次はさらにエスカレートし、止めることはより困難となります。
ですから、私はできることをしようと思い、今回の呼びかけ人へというお誘いを受けることにしました。黙って、心の中で反対と叫んでいても、なにも変わりません。表明しなければ、行動しなければ、勝手に解釈されてしまいます。ですから行動しましょう。
自分一人の行動では何も変わらないと思われる方もいるかもしれません。けれどもひとりの行動は、その家族、友人、職場の同僚、近しい周りの人に必ずなんらかの影響を与えます。これまで考えていなかった人に考える契機を作るかもしれないのです。
この国の、責任ある主権者として、世界に対して、未来の世代に対して、その責任を、手遅れにならないように果たそうではありませんか。
 7月12日をそのような機会として、一人でも多くの方にご利用いただけたらと思います。


7月1日▶三次市議会「新安保法制」廃案の


              意見書提出を求める請願可決

 

  三次市の小武正教さんからのメールで次の情報が寄せられましたので、お知らせします。


  7月1日 三次市議会で安全保障関連11法案(新安保法制)の廃案を求める意見書提出を求める請願が可決されました。採決は13対12です。
   昨年7月1日の閣議決定決定から1年。14年9月には「閣議決定の取り消し」を求める請願を「9条の会広島県北ネット」で請願し1票差で否決。12月には「三次市女性会」が同主旨の請願を提出し1票差で否決されてきました。しかしこの度は、「9条の会広島県北ネツト」と「女性会」そして「平和を考える市民の会」の全体で請願を出し、総務委員会で意見陳述。しかし総務委員会では4対5で反対が多数。しかし、この後がない中でのこの世論の盛り上がりと、粘り強い働きかけによって逆転可決となりました。
 この勢いでますます「戦争法案」への反対世論を盛り上げていきましょう。


▶替え歌「アベ・イズ・オーバー」

 

 こんな替え歌がまわってきました。どなたか歌の歌える方にぜひ歌ってもらいたい。
ふざけていると思われるのもまずいけど ぴったりだし、聞きなれたいい歌だし。

勝手に使っちゃダメなんてないと思いますが…(第九条の会ヒロシマ 藤井純子)


♪ ABE is over(原曲:Love is over) by TT

 

ABE is over 戦争法案
終りにしよう 道理がないから
ABE is over ワケなどないよ
ただひとつだけ 国民のため

 

ABE is over バカなあやまちと
笑って言える時が来るから
ABE is over 泣くな男だろう
廃案になっても 生きてはいける

 

わたしはあんたを忘れはしない
総理をやめても忘れはしない
きっと最低の総理だと思うから

 

ABE is over わたしは平和の
お守りでいい そっと心に
ABE is over 最後にひとつ
国民をだましちゃいけないよ                            



6月7日▶広島マスコミ九条の会の国会議員への要請文

              「戦争法案」を廃案にしてください

                                                                                                                                         2015年6月7日

               様

 

  私たちは、国会で審議中の「国際平和支援法案」と「平和安全法制整備法案」に反対し、廃案にすることを求めます。4日の衆議院憲法審査会では、参考人として自公両党を含む幹事会が合意のうえ招致した3人の憲法学者が全員、この「戦争法案」を「憲法に違反する」と明快な判断を表明しました。集団的自衛権の行使を許すことは「従来の政府見解の基本的な論理の枠を踏み外す」「武力行使の恐れが極めて高くなる」と違憲性を鮮明にしました。
 被爆地広島選出の議員におかれましては、二度と戦争の悲劇を繰り返さないために、憲法違反と指摘されるこの「戦争法案」に反対していただくよう要請いたします。

「平和」の文言を冠した法案ですが、これまでの国会審議を通しても「戦争法案」の性格付けが様々明らかにされています。「憲法9条に違反する」として出来なかった自衛隊の海外「派兵」がいつでも、どこでも、切れ目なく行われるようになるのではないでしょうか。「後方支援」とはいえ、相手国にとっては敵対行為であり、派兵された自衛隊員はもちろん、日本の国そのものが攻撃対象になる恐れも増えます。集団的自衛権を行使するかどうかの判断基準は極めてあいまいであり、時々の政府の判断で恣意的に自衛隊「派兵」が行われることになりかねません。立憲主義の基本を犯す「違憲立法」とも指摘される点です。
 特定秘密保護法が施行された今は、自衛隊の「派兵」など「軍事・防衛」に関わる情報が、「特定秘密」とされ、主権者・国民が知らない間に「戦争の扉」が開かれるのでは…という大きな不安と恐れがいっそう募ります。報道管制された歴史を繰り返してはなりません。

 今年はアジア・太平洋戦争の敗戦から70年、広島と長崎に原爆が落とされて70年の節目の年です。日本が起こした侵略戦争によってアジアで2000万人、日本国内でも310万人の尊い命が犠牲になりました。その反省と教訓を忘れ、再び戦争の道に迷い込む危険のある法案は何としても廃案にするよう、広島の有権者として心よりお願いいたします。

                             

                                                                                         「広島マスコミ九条の会」結成10周年のつどい 参加者一同


<送付先> 

*衆議院
  ①岸田文雄(広島1・自民) ②平口 洋(広島2・自民)③河井克行(広島3・自民)
  ④中川俊直(広島4・自民) ⑤寺田 稔(広島5・自民)⑥亀井静香(広島6・無所属)
  ⑦小林史明(広島7・自民) ⑧小島敏文(比中国・自民)⑨斉藤鉄夫(比中国・公明)
  ⑩大平喜信(比中国・共産) 
*参議院
  ①溝手顕正(広島・自民)②宮沢洋一(広島・自民)③柳田 稔(広島・民主)
  ④森本真治(広島・民主)⑤石井みどり(比例・自民)